鼻をほじってはいけないもう一つの理由

 子どもの頃、鼻をほじるのはやめなさい、と母親に叱られた経験がある人は少なくないだろう。しかし、実際に鼻をほじると自分自身だけでなく周囲の人の健康にも悪影響があることが、英リバプール熱帯医学研究所のVictoria Connor氏らが「European Respiratory Journal」10月10日オンライン版に発表した研究で報告された。成人の男女40人を対象としたこの研究では、鼻をほじったり、こすったりすると肺炎球菌が拡散する可能性が示された。鼻と手が接触するだけでも肺炎細菌が簡単に広がることを初めて報告したものだという。

 肺炎球菌は、咳やくしゃみなどで飛び散る飛沫(しぶき)を介して感染することが知られている。しかし、肺炎球菌の感染がどのように広がるのかについては、現時点では明らかになっていない。そこで、Connor氏は地域における肺炎球菌の感染経路を明らかにするために今回の研究を実施した。

 研究では、18~45歳の健康男女40人を(1)肺炎球菌を加えた水で濡らした手を鼻に近づけて吸い込む〝Wet sniff群”、(2)肺炎球菌を乾いた状態で手の甲に付着させ鼻で吸い込む〝dry sniff群”、(3)肺炎球菌を加えた水で濡らした指で鼻をほじる”Wet poke群“、(4)肺炎球菌を乾いた状態で指に付着させて鼻をほじる〝dry poke群”の4群に分けた。

 その結果、すべての群で、肺炎球菌は手から鼻へとたやすく感染することが明らかになった。また、最も感染しやすいのは肺炎球菌を加えた水で濡らした手に鼻を近づけて吸い込むWet Sniff群と、同様の水で濡らした指で鼻をほじるwet poke群であることもわかった。 この結果について、Connor氏らは乾燥した環境では細菌が死滅しやすいことが要因ではとの見方を示している。

 この研究結果が示す健康への影響は見過ごせない、とConnor氏らは指摘する。「肺炎球菌は世界の死亡の主な要因となっており、年間で130万人もの5歳未満の小児がこの細菌によって命を落としている」と同氏は説明する。また、高齢者や免疫力が低下した慢性疾患を有する患者なども肺炎球菌の感染リスクが高いという。

 この研究からは、手指の衛生に加えて子どものおもちや清潔に保つことは、幼い子どもたちを肺炎球菌の感染から守り、学校などでの集団感染や高齢の家族への拡散を防げる可能性があることが示された。ただ、Connor氏は細菌の存在によつて子どもの観戦系が増強され、その後の感染リスクが低下する場合もあるため、「鼻をほじることは悪いことだけではないかもしれない」とも話している。


短時間の軽い運動でも記憶力は向上する?

 軽い運動をするだけでも記憶力は向上する可能性があることが、筑波大学体育系教授の征矢秀昭氏らの研究から示された。健康で若い成人男女を対象としたこの研究では、安静に過ごした場合に比べて、エアロバイクをゆつくりと漕ぐ運動を10分間行っただけでも、運動直後に実施した記憶テストの成績が向上したという。詳細は「Puroceedings of the National Academy of Science(PNAS)」9月24日 オンライン版に掲載された。

 今回の研究では、健康で若い成人男女36名を対象に、軽い運動を行った場合と安静に過ごした場合の2回の実験をランダムに実施した。軽い運動時にはエアロバイクをゆっ くりと10分間した後に、5分以内に記憶テストを行った。もう一方は、座った姿勢で安静に過ごしてもらった後、同じく5分以内に記憶テストを行った。

 記憶テストでは日用品の画像を複数見せて、一般に家の中で使用するものか、外で使用す るものかを回答してもらった。次に、日常生活でよく目にする物体の写真を見せ、以前に提示したものと比べて「まったく同じ」であるか、「似ている」「まつたく違うもの」であるかどうかを評価してもらった。参加者中16人には、記憶テスト中の海馬とその周辺の活動を高解像度の機能的MRIにより評価した。

 その結果、軽い運動を10分間行った直後には、安静に過ごした場合に比べて記憶力テストの成績が向上したことが分かった。また、機能的MRIを用いた検討から、運動直後には 学習や記憶に重要な役割を担う海馬の活動が活発化していることが明らかになった。さらに、海馬歯状回と周辺皮質との情報伝達が活発化した人ほど記憶テストの聖跡が向上していたことから、軽い運動は海馬歯状回と大脳皮脂の間の機能的結合が増大することで記憶力が向上している可能性が示唆されたという。

 征矢氏は「この結果は、高齢者などの体力のない人や運動をあまりしたくない人にとって良いニュースになるだろう」と話している。また、今回の研究は若い健康な成人男女を対象としたものだが、これまでの研究で軽い運動は高齢者にも幅広い効果をもたらすことが示唆されていることから、同氏は、軽い運動が認知機能にもたらす効果は若い男女に限ったものではないのではとの見解を示している。さらに、現時点では運動による効果が持続する時間は明らかでないが、「10分間の運動後に少なくとも115分は効果が持続するといえる」と同氏は述べている。

 専門家の一人で米アルツハイマー協会のHeather Snyder氏は「軽い運動でも脳機能に良好な影響を与えるということは広く知られているが、具体的にどのような有益性があるのか。また運動が脳に良いとする生物的なメカニズムについてはまだ分かっていない」と話している。その上で、同氏は「征矢氏らの研究結果は興味深いもので、今後、高齢者でも同様の結果が得られるかどうかを確認することが、次のステップとして重要になるだろう」と指摘している。


ノーベル賞受賞、がん治療を激変させたPD-1とCTLA

 2018年のノーベル医学・生理学賞を、京都大学高等研究院特別教授 本庶 佑氏とMDアンダーソンがんセンター教綬のJames P. Allison氏が共同受賞することが決まった。両氏はともにがんに対する免疫応答の制御に関連するタンパク質を発見し、がん免疫療法の近年の急速な進歩に寄与したことが受賞理由となっている。本稿では、ノーベル財団のプレスリリースから、2人の研究の足跡を紹介する。

  ほぼ同時期に、2つの発見

 1992年、本庶氏ら京都大学の研究者が、T細胞の細胞死誘導時に発現が増強される遺伝子としてPD-I(Programmed cell death1)を発見、その機能が明らかになるまでには時間を要したが、1996年、マウスによる実験でPD-1がT細胞のブレーキとして機能し、その働きを制御していることが明らかとなった。その後に続く同氏らおよび他の研究グループによる動物実験の結果、PD-1に結合してT細胞の活性化を抑制するPD-L1やPD-L2との結合をブロックする抗PD-1抗体が、がんとの闘いにおいて有望な戦略であることが示された。

 2012年には、非小細胞肺がん(NSCLC)、悪性黒色腫、腎細胞がん(RCC)といった複数のがん腫における抗PD-1抗体ニポルマブの臨床試験結果が発表され、その結果は、全生存期間および奏功率の双方で臨床的に大きく改善するものであった。

 一方、カリフォルニア大学バークレー校の研究所では、Allison氏が同じくT細胞のブレーキとして機能する細胞障害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)を研究していた。彼は、CTLA-4の阻害がT細胞ブレーキを解除し、免疫細胞の抑制を解くことで、がん細胞を攻撃できる可能性があるのではないかと考えていた。

 そして1994年の年末、マウスをつかった最初の実験を行い、抗CTLA-4抗体による治療で、腫瘍を持つマウスが治癒することが確認された。当初、製薬業界の関心が向けられることがほとんどなかったが、間もなくして、いくつかの研究グループから有望な結果がもたらされるようになった。2010年には重要な臨床試験結果が発表され、悪性黒色腫の患者に対し、抗CTLA-4抗体イピリムマブが顕著な効果を示した。

 PD-1とCTLA-4は同様にT細胞のブレーキとして機能するが、その作用機構は異なる。

 がん治療を根本的に変えた

 現在、多くのがん腫において多数の臨床試験が進行中であり、ニポルマブとイピリマブ以外の新たな免疫チツクポイント阻害薬による医療法の開発も進んでいる。また、抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体の併用療法がさらに効果的である可能性も、悪性黒色腫に対する臨床試験によって示されている。

 100年以上もの間、多くの研究者ががんとの闘いに免疫システムを結び付けようとしてきたものの、その臨床的進歩はほとんど見られなかった。しかし、2人の受賞者による発見の後、治療法の解発とその成果は劇的だった。しかし、2人の受賞者による発見の後、治療法開発とその効果は劇的なものだった。免疫チエックポイント阻害薬による治療はがん治療に革命をもたらし、がんの管理方法を根本的に変えるものであった。


乳製品摂取増加が死亡・心血管リスク低下と関連/Lancet

 低・中所得国21カ国を対象とした多様な多国籍コホート研究において、乳製品の摂取が、死亡および主要心血管疾患イベントの低下と関連することが明らかになった。カナダ・マックマスター大学のMahshid Dehghan氏らが、Lancet誌オンライン版2018年9月11日号で発表した。心血管疾患や死亡を増大すると思われているが、この懸念に関するエビデンスは弱く、また、これまで低所得国および中所得国の健康への乳製品消費の影響に関するデータは殆ど入手できていなかったという。

 21カ国13万6,384例について関連を評価

 研究グループは、乳製品全体および特定の乳製品と、死亡および重大心血管疾患との関連を調べる「Prosprctive Urban Rural Epidermiology(PURE)試験」を行った。試験は5大陸・21カ国(アルゼンチン・パングラデシュ・ブラジル・カナダ・チリ・中国・コロンビア。インド、イラン、マレーシア、パレスチア自治国、パクスタン、フィリピン、ポーランド、南アフリカ共和国、サウジアラビア、スウエーデン、タンダニア、トルコ、アラブ首長国連邦、ジンパブエ)から35~70歳の13万6,384例が参加した大規模多国籍コホート試験であった。

 参加者の乳製品摂取量を、検証済みの国別の食事摂取頻度調査票を用いて記録した。乳製品は、牛乳、ヨーグルト、チーズとし、これらを全脂肪と乳脂肪の乳製品に分類した。

 主要評価項目は、死亡または主要心血管疾患イベントの複合(心血管系が原因の死亡、非致死的心筋梗塞、脳卒中または心不全と定義)とした。参加者の中央クラスター形成を説明するためにランダム切片・多変量Cox frailtyモデルを用いて、ハザード比(HR)を算出して評価した。

 摂取総量が多いほど複合イベント発生リスクは低い

 2003年1月1日~2018年7月14日のフオローアップ9.1年間で、1万567件の複合イベントが記録された(死亡6796件、主要心血管疾患5,855件)。

 乳製品摂取量が多いほど複合イベントの発生リスクは低かった(非摂取を参照とした場合の>2サービング「SV」/日のHR:0.84、95%信頼区間[CI]:0.75~0.94、傾向のp=0.00004)。

 イベント別に見ると、総死亡(0.83、0.72~0.96、傾向のp=0.00052)、非心血管死(0.86、0.72~1.02、傾向のp=0.046)、心血管死(0.77、0.58~1.01、傾向のp=0.029)、主要心血管疾患(0.78、0.67~0.90、傾向のp=0.0001)、脳卒中(0.66、0.53~0.82、傾向のp=0.0003)についてはリスクの低下がみられたが、心筋梗塞についてはリスクの低下がみられたが、心筋梗塞については有意な低下が観察されなかった(0.89,0.71~1.11、傾向のP=0.163)。


肥満でなくても総コレステロール高値に注意-50歳以上の日本人男女を分析

 50歳以上の日本人男女では、39年前に比べて総コレステロール(TC)高値に対する肥満の影響が弱まっている可能性のあることが、滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学部門教授の三浦克之氏が研究代表を務めるNIPPON DATA研究グループの調査であきらかになった。論文の筆頭著者で浜松医科大学健康社会医学講座の柴田陽介氏によると、30年前は肥満の人ほどTC高値になりやすく、痩せている人ほどなりにくかったが、近年では適正体重であっても、また女性では痩せている人でもTC高値になりになる人が増えていることが分かったという。詳細はJournal of Epidermilogy 7月21日オンライン版に掲載された。

 研究グループは今回、厚生労働省が1900年、2000年、および2010年に実施した国民健康・栄養調査と旧循環器疾患基礎調査に参加した全国の50歳以上の男女(それぞれ5014人、4673人、5959人、および2106人)を対象に、肥満度とTC高値との関連を調べる研究を実施した。なお、調査は全国300地区の一般住民を対象に行われた。研究ではTC高値は220mg/dl上とし、肥満、瘦せ。適性体重はそれぞれMBIが25.0kg/m2以上、18.5kg/m2未満、18.5kg/m2以上25.0kg/m2未満と定義した。

 その結果、30年間で肥満の人の割合は男性では16.3%、21.6%、28.2%、34.1%と上昇したが、女性ではほぼ横ばいで推移していた(26.2%、29.0%、27.1%、27%)、また、痩せている人の割合は男女とも低下傾向にあった。TC高値の人の割合は男性(14.2%、26.4%、24.7%、27.4%)、女性(28.9%、47.2%、44.2%、42.3%)ともに1990年まで増加し、その後はぼ横ばいであった。

 また肥満や瘦せの人が適性体重の人に比べTC高値にどのくらいなりやすいのかを、年齢や喫煙、飲酒、運動習慣の有無などで調整して解析した結果、男性では1980年には肥満の人は2.4倍だったが、2010年には0.9倍へと低下していた、痩せている人は0.3倍から0.4倍になった。さらに、女性は肥満の人は1980年の1.4倍から2010年に0.9倍まで低下し、痩せている人は0.4倍から1.0倍へと増加した。

  以上の結果を踏まえて、三浦氏は、「日本人を対象とした大規模調査で、50歳以上の男女ではこの30年の間に肥満とTC高値との関連が弱まっていることが分かった。近年では、体系にかかわらず脂肪(特に飽和脂肪、食事性コレステロール)が多い食事をとる人が増えており、このことで肥満や瘦せとTC高値との関連が弱くなった可能性が考えられる。脂質異常を予防するには肥満対策だけでなく、肥満度にかかわらず食事中の脂肪分を減らすなどの対策も必要だ」と話している。


入浴中の熱中症が溺水を引き起こす?

 わが国では入浴に関連する突然の心停止がしばしば起こる。今回、慶応義塾大学/東京歯科大学市川総合病院の鈴木 昌氏らの前向き横断観察研究から、非致死的イベントを含む事故が頻繁に発生していること、また体温上昇に伴う、機能障害による意識障害と昏睡が、キーとなる症状であることがわかった。本研究の結果から、お湯に浸水中の熱中症が溺水を引き起こすことが示唆されるという。Internal Medicine誌オンライン版に掲載。

 著者らは、東京都、佐賀県、山形県において、2012年10月~2013年3月に前向き横断観察研究を実施した。緊急医療システムの起動が入浴関連であると救急隊員が認識した場合にイベントを本研究に登録し、救急隊員および担当医から交付されたサーベイランスカードを収集した。

 主な結果は以下の通り。

 本研究で計4583イベントが登録された(心停止1528例、救助が必要な生存者935例、急性疾患1553例、外傷577例)

・救助が必要および急性疾患の生存者の主症状として、器質的疾患のない意識障害および昏睡が認められた。

・急性冠症候群および脳卒中の診断はまれであった。

・生存者の30%は体温が38℃を超えていた。

・意識レベルは体温と有意に相関していた。

・救急隊員の報告では、顔が浴槽の湯に浸蹟していた例は、突然の心停止で79%、生存者で18%であった。


親のスマホ依存、親子関係への影響は?

 子育てに行き詰まっても、スマホやパソコンなどの電子機器を逃げ場にするのは、親にも子供にも良くないようだ。米ミシガン大学医学部小児科学のJenny Radesky氏らが行った研究で、子どもに手を焼く親ほど電子機器をよく使い、子供と向きあう時間が減って親子関係の悪化につながる可能性のあることが示された。同氏は「子どもは、親の注意が電子機器ばかりに向けられていると不満を持ち、もっと親の気を引こうと行動するようになる」と話している。詳細は「Pediatric Research」6月13日オンライン版に掲載された。

 今回の研究では、5歳以下の子どもを持つ183組の両親を対象に、6カ月にわたりオンライン調査を4回実施した。調査では、両親にテレビやスマホ、タブレット、パソコンなどの電子機器を子どもと一緒にいる間に使用する頻度やストレスの程度、落ち着きのなさやかんしゃくといった子どもの問題行動について尋ねた。

 その結果、ほとんどの親が、子供と過ごしている間に少なくとも1日に1回は電子機器を使用していた。親は子どもが問題行動を起こすと強いストレスを感じ、そのストレスが大きいほど電子機器をよく使用していることが分かった。また、親が電子機器を使用するほど子どもと向き合う時間が減り、時間の経過に伴って子どもの問題行動は悪化することも明らかになった。

 スマホやタブレットは、現代人の生活に欠かせないアイテムだが、過度な使用は日常生活に悪影響を及ぼし、精神的にもさまざまな障害を引き起こす可能性がある、米国などではこうした状態は「テクノフェレンス(technoference)という造語で呼ばれているという。

 しかし、専門家の一人で米ニューヨーク大学(NYU)ランゴンヘルスのYamalis Diaz氏は、必ずしもスマホやタブレットが問題の原因ではないと指摘する。親が子どもの問題行動にうまく対処できないことが原因の場合もあれば、スマホ以外にもテレビや本に夢中になる親もいる。ただ、テレビや本などに比べて電子機器は場所や時間を問わず使えるため。親子関係への影響度はより大きいとしている。

 これらを踏まえ、Dadesuky氏は「「電子機器を手に取らず、子ども向き合とだけ向き合う時間を持つことが大切だ」と強調する、Diaz氏もこの考えに同意し、「子どもと密度の濃い、質の高い時間を過ごすことで良好な親子関係を築けるだろう」とコメントしている。また、Radesky氏は、仕事のメールやソーシャルメヂアの中でも自分にとってストレスとなり、子どもに怒りっぽくなる原因になるものを見つけ出し、子供と一緒にいるときはこれらの閲覧は避けるように助言している。


夏バテ予防

・夏バテの原因は

 暑い夏は、身体に無理が生じ、体調を崩しやすい季節です。生活のリズムを守り、食性活二気をつけ、暑い夏を元気に乗り切りましょう。

 夏バテは、夏の暑さに対応症として、身体の生理的調節機能が破綻して。その結果。いろいろな不快症状が現れます。汗は体温を一定に保つのに必要ですが、汗とともにナトリウウ、カリウムなど、体に必要なミネラルも一緒に排泄されてしまいます。その結果。体内のミネラルバランスが崩れ、疲労感が生じる原因になります

  最近では、冷房の効いた室内と暑い屋外の行き来による温度差に身体の体温調節機能が適応できず、体調を崩すというケースも多くみられます。   

 暑くなると、消化酵素の働きが低下します。また冷たい飲み物を多くとることで、胃腸が冷えて消化不良を起こします。その結果、食慾が落ちてあっさりしたものを好んで食べるようになり、タンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素が不足しがちになります。

 ・夏バテを防ぐには

 自然なリズムの生活のもとに、栄養バランスの取れた規則正しい食生活を実行することが重要です。

・規則正しい生活を

  1日3回、規則正しく、よく噛んで食べる、夜遅くまで飲食しない、充分な睡眠をとる、適度な運動をする、などの注意が必要です。

 ・うなぎや豚肉など、ビタミンB1を撮る

 夏場は、さっぱりした食べ物を好み、甘い清涼飲料水をよく飲むので、脂肪が少なく糖質の多い食生活になりがちです。脂肪や糖質をエネルギーに変えるには、ビタミンB1が必要です。ビタミンB1が不足すると、疲労感や脱力感が生じ、また胃腸の消化・吸収能力が低下し食欲が落ちるなど、夏バテ症状を悪化させてしまう原因になります。 ビタミンB1は、うなぎや豚肉、レバーなどに多く含まれています。昔から夏バテ防止に土用のウナギを食べる習慣がありますが、理にかなった知恵と言えるでしょう。

・緑黄野菜を撮る

 夏の緑黄色野菜は、カロチン、ビタミンB1、B2,、Cや鉄、カルシウム、 カリウムなどのミネラル多くふくまれています。ビタミンの必要が増大する夏場には、たっぷりとりたい食品です。カロチンは油に溶けて体内に吸収されるので、野菜炒めや揚げ物などと油を使った調理法がお勧めです。

 ・水分、ミネラル不足に注意

 汗をかいたら、みそ汁、牛乳、お茶、スポーツドリンクなどで水分、ミネラルを補給しましょう。胃腸を冷やす冷たい飲み物ばかりでなく、緑茶など温かい飲み物にするのもよいでしょう。


熱中症

 命にもかかわる熱中症 炎天下の活動時には、十分注意しましょう

 熱中症とは?  高温多湿な環境で長くいることで、体温の調節機能が乱れ、水分と塩分のバランスが崩れることなどにより起こります。特に乳幼児や高齢者に多くみられ、死亡率も高くなっています。炎天下での作業やスポーツ中に多く発生します。発熱、二日酔い、下痢、疲労などで体調を崩している状態の人は、体温の調節機能が低下し、普段よりも熱中症を起こしやすくなるので、注意が必要です。

 熱中症の症状は?  めまいや疲労感、頭痛などから、失神、血圧の低下、頻脈、意識障害、全身の臓器の機能不全に至るまで、症状の程度は幅広くあります。多くの場合、いくつかの症状が重なりあって起こります。軽い症状でも、そのままにしておくと重症へと進行し、死に至る場合もあります。必ず医療機関を受診しましょう。

 熱中症の予防は?  炎天下では直射日光を避けるため」帽子をかぶり、体の熱を効率 良く外へ逃がすために風通しの良い服装にします。炎天下で活動する際には、定期的な休息 を取ることや、スポーツドリンクなどでこまめに水分と塩分を補給することが重要です。また、室内においても熱中症になることがあるので、エアコンの利用などで室内温度の調整を行いましょう。

 熱中症になったら?  意識がはっきりしている時は冷房の効いた場所や、日陰で風通しの良い涼しい場所へ運び、同時にスポーツドリンクなど水分と塩分の補給を行います。言動がおかしかったり、意識がぼんやりしている時には、水をふりかけたり、うちわで扇ぐなどして身体を冷却し、同時に至急、救急車を呼びます。首の両方の横、両わきの下、股の間にタオルや保冷剤を当て、冷やすのも効果的です。

 熱中症は、重症になれば命を落とすこともある怖い病気です。倒れたのち、症状が治まったように見えても、急に容態が変わることもあります。どのような場合であっても必ず医療機関へ行くようにしましょう。


ヒトの脳は「脂質+糖質」を好むようにできている

 ヒトの脳は、本能的に脂質と糖質の組合せを好むようにできている可能性のあることが、、米イエール大学精神科のDana Small氏らによる研究で示唆された。この研究では、資質と投資と糖質のいずれかを多く含む食品よりも、ファーストフォードや加工食品などの両方を多く含んだ食品の方が、脳内の報酬系のシグナル伝達を増強することが明らかになったという.詳細は「Cell Metabolism」6月14日オンライン版に掲載された。

 これまでの研究で、食欲を司る脳領域に空腹感や満腹感を伝えるシグナルは、主に腸管から伝達されることが分かっていた。一方、最近の研究では、脂質を摂取したときと糖質を摂取した時では、異なるシグナル伝達経路が使われることも示されている。こうした結果を踏まえ、Small氏らは、脂質と糖質の両方を含む食品を摂取すると、カロリーは同じだが一方だけを含む食品を摂取するよりも、相乗作用によってシグナル伝達系への影響が強まる可能性があると考え、今回の研究を実施した。

 研究では、健康なボランティアを対象に、(1)キャンデイなどの糖質を多く含む食品、(2)ミートポールやチーズなどの脂質を多く含む食品、(3)クッキーやケーキなどの糖質と資質の両方を多く含む食品、のいずれかの写真を見てもらい、MRIによる脳画像検査を実施した。なお、対象者には、オークションで競り落とせば自分の好きなものを食べることができると説明した。

 その結果、脂質+糖質を多く含む食品に対し最も高額な値がつけられた。また、脳画像検査の結果、脂質+糖質を多く含む食品の写真を見せられた際に、自分の好きな食べ物や、より甘い食品やより高カロリーな食品、量が多い食品の写真を見せられた時よりも、報酬系を司る脳領域の神経回路が活性化していた。

 この結果について、Small氏は「脳内の報酬系は単純にカロリー量の増加に応じて活性化するわけではないことが分かり、驚いた」と話す。また、今回の研究では、脂質が多い食品のカロリーを推測できる人は多いが、糖質が食品のカロリーを推測できる人は少ないことも明らかになった。このことから、同氏は「多くの人は、脂質と糖質の両方を含む食品から正確にカロリーを推測することは難しいと思われる」と述べている。

 Small氏は脂質と糖質を多く含む食品は、ヒトの食慾を司るシグナルをハイジャックすると表現する。「現在人が食べる殆どの食品は脂質と糖質の両方を多く含んでいるが、こうした食品は母乳をのぞけば自然界には存在しない」と説明し、「現在的なこれらの食品が脳内の報酬系のシグナル伝達をより増強するのであれば、肥満や糖尿病が蔓延していることの 説明がつく可能性がある」との見方を示している。


映像の再生速度でサッカー審判の判定がかわる?    
 6月14日に開幕したサッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会が連日盛り上がりを見せている。サッカーの試合では主審の判定は絶対とされているが、最近では得点やレッドカード(退場処分)などの誤審を減らすためビデオ判定システムの導入が初まっている、今回、ルーブェン・カトリック大学(ベルギー)のJochim Spitz氏らが行った研究で、ビデオ判定映像の再生速度によって審判のファウルの判定が変わる可能性が示された。映像をスロー再生すると通常速度で再生した場合に比べて、審判はより厳しくファウルをとるようになるという。詳細は「Cognitive Research:Principles and Implication」6月11日オンライン版に掲載された。

 今回の研究では、5カ国のベテラン審判88人を対象に、国際試合でファウルと判定された60場面の映像を見てもらい、再判定してもらった。その際、審判には通常の速度で再生した映像とスロー再生した映像を見せて、再生速度が判定に及ぼす影響を調べた。 その結果、審判はスロー再生映像で選手のファウルを判定すると、より厳しいペナルティを貸す傾向がみられることが分かった。ファウルかどうかの判定では、その制度は通常速度の再生(61%)とスロー再生(63%)の間で優位な差はみられなかった。しかし、ファウルが意図的なものであったかどうかの判定では、通常速度の再生よりもスロー再生の映像を見た方がレッドカードとする確実が高かったという。

 Spitz氏は「ファウルの意図性の判定はスロー再生映像の方が厳しくなる確実が高かった。再生速度によって、反則が不用意だったのか(カードなし)。イエローカード(無謀なファウル)、レッドカード(過剰な力で犯したファウル)だったのかの判定に差が生じると思われる」と話している。

 最近では、サッカーリーグでビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)と呼ばれるビデオ判定システムの導入が進んでいる。これは試合の映像で明らかに主審の判定が誤りと判断されれば、利蔵副審が誤審だと申告できる仕組みで、主審は自分で映像を見直すこともできる。誤審の減少が期待される一方で、試合の進行を妨げるとの批判もあり、VARの導入には賛否両輪の声がある。

 Spitz氏は「映像の再生速度で審判の判定が変わるとする今回の研究結果は、VARガイドラインを作成する際に考慮すべき重要なポイントになる」と強調。開催中のW杯でもVARはしばしば議論を呼んでいることから、タイムリーな研究だとしている。

 また、Spitz氏らによると、スロー再生映像は、たれが反則したのか、実際に接触があったのか、ファウルはベナルテイエリア内だったのかどうかを明確に判定するには有用な可能性がある、しかし選手が意図的に反則したのかどうかなど、人間の感情を判定するとなると話は違ってくるという。「例えば、法廷ではスロー再生の映像は意図的であるとの印象を強めてしまうため、こうした映像は証拠として使われない」と説明している。


感染力が強い「水いぼ」    
 「水いぼ」は、6月~7月にかけて主に子どもによく見られるウイルス性能の感染症です。かゆみや痛みはありませんが、ひっかいたりつぶしたりすると全身に広がったり、ほかの子どもにうつしてしまうこともあります。早めに医師に相談するようにしましょう。

 「水いぼ」つてどんな病気? 子どもによくみられるウイルス感染症で、1~1.5ミリ程度の丸くて柔らかい光沢のあるいぼができますが、ほとんどの場合、かゆみや痛みはありません。何かの拍子にひかいたりつぶしたりすると、中のウイルスが飛び出して、全身に広がる場合もあります。また、皮膚が触れ合うことで、ほかの子どもにうつすこともあります。

 どんな治療をしますか? 水いぼは、ピンセットでつまんでつまみ取る治療法が一般的です。少し痛みを伴う治療ですが、最近では痛み止めを使うなどして痛みがない方法で治療することが多くなっています。

 プールに入れますか? プールの水を介して感染することはないと考えられていますので、皮膚が化膿していたり悪化していなければ、プールに入ることを許可されることもあります。ただし、肌と肌が触れ合うと感染することが多いので、狭い浴槽やビニールプールなどを使用するときは患児と肌が合わないよう工夫したリ、タオルやそのほかの衣類を介して感染しないように注意する必要があります。また、水泳や水遊びなどの後は、全身をよく洗うようにしましょう。

 放っておいても1,2年で治りますが、伝染力が強くべつの部位に広まつたり、ほかの人にうつしてしまいやすいので、なるべく初期に処置について医師に相談するのがよいでしょう。


ミルクチョコレート VS ダークチョコレート、視力に良いのは?    
 ダークチョコレートは、短期間の血流改善や、気分および認知機能を改善するが、視機能に対する影響は殆ど知られていない。

米国・University of the Incarnat Word Rosenberg School of OptometryのJeff C. RABIN氏らは、無作為化クロスオーバ単盲試験の結果、ダークチョコレートはミルクチョコレートと比較し、摂取2時間後のコントラスト感度と視力を有意に改善したことを報告した。著者は「これらの効果の持続期間や日常臨床での影響については、さらなる検討がまたれる」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年4月26日号掲載の報告。

 研究グループは、視力並びに大きい文字と小さい文字のコンストラスト感度に対する短期効果をダークチョコレートとミルクチョコレートの摂取で比較する目的で、2017年6月25日~8月15日にRosenberg School of Optometryにて無作為化クロスオーバ単盲検試験をおこなった。

 病理学的な眼疾患のない30例(男性9例、女性21例、年齢「平均±SD」26±5歳)に、ダークチョコレートとミルクチョコレートを別個に食べてもらい、1.75時間後に視力および大きい文字と小さい文字のコントラスト感度をそれぞれ測定し、比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・小さい文字のコントラスト感度(平均±SE,logCS)はダークチョコレート摂取後1.45±0.04、ミルクチョコレート摂取後1.30±0.05で、ダークチヨコレート摂取後のほうが優位に高かった(平均差:0.15、96%信頼区間[CI]:0.08~0.22、P<0.001)。

・大きい文字のコントラスト感度(同上)は、ダークチョコレート摂取後2.05±0.02、ミルクチョコレート摂取後2.00±0.02で、ダークチョコレート摂取後の方がわずかに高かった(平均差:0.05、95%CI:0.00~0.10、P=0.07)。

・視力(平均±SE,logMAR)も、ダークチョコレート摂取後-0.22±0.01(約20/12)、ミルクチョコーレート摂取後-0.18±0.01(約20/15)で、ダークチョコレート摂取後わずかに改善した(平均差:0.04、95%CI:0.02~0.06、P=0.05)。

 すべての検査結果を合わせた複合スコア(logU)は、ダークチョコレート摂取後の方が、ミルクチョコレ―ト摂取後より有意な改善を示した。(平均差0.20、95%CI:0.10~0.30、P<0.001)。


 RSV感染症はインフルエンザよりも怖い?

 2018年6月7日、アツヴィ合同会社は、RSウイルス(RSV)感染症メデイアセミナーを都内で開催した。RSV感染症は、2歳までにほぼ100%が初感染を経験するといわれており、乳幼児における呼吸器疾患の主な原因(肺炎の50%、細気管支炎の50~90%)として報告されている。

 セミナーでは、「乳幼児の保護者はなにを知らなければいけないか?変動するRSウイルスの流行期と其の課題と対策」をテーマに講演が行われた。セミナーの後半には、愛児がRSV感染症に罹患した経験を持つ福田靄氏(タレント)が、トークセッシヨンに参加した。

 RSV感染症の死亡リスクは麻疹の次に高い  

はじめに木村博一氏(群馬バース大学院保健科学研究科教授)が、「RSウイルス感染症の流行に関する最新の知見」について紹介を行った、英国・ユニバーシテイ・カレッジ・ロンドンのRobin A Weiss氏らの研究結果によると、RSV感染症の死亡リスクは麻疹の次に高く、インフルエンザよりも上に位置するという。RSV感染症は、乳幼児・高齢者には気管支炎や肺炎を起こすが、青年期→成人期には鼻風邪程度の症状が多いため、知らぬ間に高齢者施設などにウイルスを運びこみ、集団感染につながる恐れがある、「高齢者の命の灯を消す病気」ともいわれ、乳幼児だけでなく、高齢者のリスクも考える必要がある。また、RSV感染症の動向について、数年前から流行時期が早まっており、夏~秋にかけて患者数が増加する傾向がみられるが、地域によってはかなり異なるという。以前の調査で、平均気温が26~28℃、湿度が79%以上でRSV感染患者が増加するという結果がえられたこともあり、今後の研究によって、流行の早期探知や予測可能になるかもしれない。

 ハイリスク群には抗RSV抗体が保険適用になる

 次に、山岸 敬幸氏(慶応義塾大学医学部小児科教授)が、「RSウイルス流行期変動による実臨床での影響」について、同社が行った結果を交えて説明した。2歳未満の子供をもつ親1,800名に対するアンケートで、RSV感染症を「知っている」と答えた割合は50%にも満たなかった、また、RSV感染症を「知っている」「名前は聞いたことがある」と回答した親(1,158名)のうち近年流行期が早まっていること、流行のタイミングには地域差があることに関して「知っている」と答えた親は、約30%にとどまった。

 早産、先天性心疾患、ダウン症候群など、RSV感染症ハイリスク群に指定されている場合、抗RSV抗体であるパリビスマブ(商品名シナシス)が保険適用となり、RSV流行期を通して月1回の筋肉内注射をうつことで、感染を予防することができる。流行期が早まっているRSV感染の対応について、山岸氏は「RSV感染症に対する意識・認知度の向上と、感染予防策の徹底、そしてパリビスマブによる予防が重要である」と語った。


 睡眠不足は子供の肥満リスクを高める

 睡眠不足は子供の肥満リスクを高める可能性があることが、新たな英国の研究で示された。こうしたリスクは乳児期から思春期の全ての子供で共通して見られたという。詳細は「SLEEP」4月号に掲載された。

 英ウオーリック大学の研究チームは、18歳以下の小児を対象に、ベースライン時の睡眠時間の長さと過体重や肥満になるリスク(あるいはBMIまたはスコアの変化)の関連を調べた観察研究の論文を調査し、前向きで追跡期間が1年以上などの登録基準を満たした14件の研究を対象にメタ解析を実施した。これらの研究では、計7万5000人強の小児が約3年間追跡されていた。  対象とした小児を乳児期、幼児期、学堂期、思春期の4つの年齢層で分けて解析したところ、いずれの年齢層でも、睡眠時間が推奨よりも短い群では、適切な睡眠時間を取る群と比べて過体重や肥満になるリスクが約1.3~2.2倍であることが分かった。また、睡眠時間はBMIやBMIzスコアの変化とも有意に関連していた。

 論文の筆頭著者である同大学のMichelle Miller氏は「太り過ぎは、成人だけでなく子供の間でも増加傾向が問題視されている心血管疾患や2型糖尿病につながりうる。今回の結果は、睡眠が生活習慣病につながる肥満の重要かつ修正可能なリスク因子であることを示している」と説明している。  また、今回、睡眠不足が体重増加と関連するという結果はどの年齢層でも一貫して見られたことから、同氏は「乳児期にあっても思春期にあっても、睡眠不足は子どもの肥満リスクを高めることを意味している」と指摘。今回の研究は因果関係を証明したものではないことを断った上で、「肥満のリスク因子の中でも睡眠不足は強力な要因であることを強調するものだ」と付け加えている。

 米国睡眠財団(Nationai Sleep Foundation;NSF)によると、生後4~11カ月の乳児は夜間に12~15時間、1~2歳児は11~14時間、3~5歳児の未就学児は10~13時間、6~13歳の学童は9~11時間、14~17歳の思春期には8~10時間の睡眠を取ることが推奨されている。


 適切なワクチン接種は母子手帳の確認から

 ファイザー株式会社は、2017年12月13~18日、ワクチン接種に対する実施調査アンケートを行い、その結果を示した。調査結果、保護者が母子健康健康手帳をいつも携帯し、医師との適切なコミユニケーシヨン(母子手帳を見せるなど)をとることで、小児のワクチン接種に適切な状況がもたらせる可能性が示唆された。母子手帳の活用により、小児の感染症予防につながることが期待される。主な結果は以下の通り。

・Q1 小児の診察時に母子手帳を見せていますか?

 対象:1~5歳の小児を持つ母親1万726人  いつもみせている:44.1%(4733人) 予防接種の時のみ見せている:47.7%(5118人) 

「いつもみせている」の回答者数は、小児が1歳では60.2%(1248/2074人)だが、成長するにつれて減る傾向があり、5歳では37.0%(815/2,202人)まで下がった。

・Q2 なぜ診察時に母子手帳を毎回見せないのですか?(複数回答)

  対象:Q1で「いつもみせている」と回答した以外の母親5993人 見せてほしいといわれないから:91.9%(5,509人) その他の回答:10%以下

Q3 肺炎球菌ワクチンの追加摂取を実施しましたか?(Yes回答を集計 )

 対象:ワクチン接種スケジュールを順守できた2~5歳の小児の母親8467人 母子健康手帳を病院で提示している群(8,119人)のYes回答:94.0%  母子手帳を病院で提示していない群(348人)のYes回答:86.0%

医療機関で母子健康手帳を見せていないとワクチンの追加接種率が低い傾向にある。


 繰り返される輸入麻疹の流行(ワクチン接種が唯一の防御策)

 輸入麻疹の国内流行が後を絶たない。沖縄県では感染者が1ヵ月で65人に達し、県外でも患者が確認された。麻疹ウイルスの持ち込みを絶つことが難しい以上、ワクチン接種率を高めて国内の流行拡大を防ぐしか道はない。

 観光で沖縄県を訪れていた台湾来住の30歳代男性が麻疹と診断されたのは3月20日、このときの疫学調査で、3月14日に発熱があったことが確認された。患者は3月17日に、国際線で沖縄県へ移動、モノレールを利用し那覇市内を観光後、市内のホテルに宿泊。翌18日と19日も各地を観光。19日のうちに発疹が出現し、夜間に自ら中部保健所管内の医療機関を受診、入院となった。3月20日入院した医療機関が中部保健所に、麻疹及び風疹の疑い患者として報告。保健所から衛生環境研究所へ検査を依頼し、麻疹遺伝子陽性と判明した(風疹は陰性)。3月22日。衛星環境研究所が実施した遺伝子解析の結果、遺伝子型D8と判定された。翌23日、県は麻疹患者が4年ぶりに確認されたことを発表。行動範囲が広く、不特定多数との接触があったことから、感染が広がる懸念があると注意喚起をおこなった。麻疹と確定してから9日後の3月29日に、初発例と接触歴があった2人の患者が発生。3月31日には新たに5人が確認された。その後も患者は増え続け、初発例が診断された3月20日から1ヵ月間で、患者数は65人に達した。年齢は0歳から50歳代と幅広くワクチン接種歴が「なし」あるいは「不明」が40例以上と大半を占めていた。地域的にも那覇市、宣野湾市、名護市など県全域に拡大した。そんな中、4月11日には名古屋市来住の10歳台男性が麻疹と確定。疫学調査で、3月28日から4月2日まで沖縄に旅行していたことが明らかになった。今回の沖縄県内の麻疹流行に関連し、県外で患者が確認されたのは、これが初めだった。もはや、全国で麻疹患者が発生してもおかしくない状況にある。「当面、沖縄へ旅行後の発熱例には、麻疹を鑑別に入れるべき」と強調されている。

 海外渡航歴のある人や訪日した外国人の麻疹患者を起点に国内で流行が拡大した集団感染は毎年のように発生している。2016年には関西国際空港を舞台に33例の集団感染があった、翌2017年には、山形県、三重県、広島県でも集団感染が報告された。


 子どもに本を読み聞かせる効果、言語や脳の発達以外にも

 寝る前に子どもに本を読み聞かせることは、子どもの言語や脳の発達を促すだけでなく、親と子どもの双方の社会的なスキルや行動スキルにも良い影響を与えることが、香港大学社会福祉・社会行政学のQian-Wen Xie 氏らによる研究から明らかになった。この研究結果はPediatrics 3月27日オンライン版に掲載された。

 これまでの研究で、親が子どもに本を読み聞かせることで子どもの言語や読み書きの能力が向上するなど、さまざまな効果が期待できることが明らかにされている。また、幼児期に本を読み聞かせると子どもの脳の発達が促され、学童期の成績も向上することが最近の研究で示されている。

 Xie氏は今回、本の読み聞かせが親子の精神面や感情面、行動面や社会性といった心理社会的な能力にどのように影響するかについて検討するため、合計で約3,300組の親子(子供の年齢は0~3歳または3~6歳)を対象とした19件のランダム化比較試験(RCT)のメタ解析を実施した。

  これらのRCTの試験デラインは同一ではなかったが、いずれのRCTも介入群では対象者の親に読み聞かせのトレーニングを実施したり、読み聞かせの補助ツールを提供したりするなどの支援を行った一方で、対照群ではこうした支援を行っていなかった。また、心理社会的な能力については、社会的感情の調整や行動面での問題、QOL(生活の質)、読書への関心、ストレスや抑うつ、育児の能力parenting competence)、親子関係などの検査に基づき評価した。Xie氏によると、心理社会的な能力とは自分自身をケアする能力や、自己肯定感を持ち、他者と有意義な関係を持つことで喜びを感じることのできる能力が含まれるいう。

  解析の結果、親が子どもに本を読み聞かせることで、親子双方においてこうした心理社会的な能力が向上することが明らかになった。この結果を踏まえ、Xie氏は「自信をもつて本の読み聞かせが社会的スキルや行動スキルにも良いと勧める事ができる。子どもに本を読み聞かせることで子どもが賢くなるだけではなく、子供を幸せな気持にさせ、親子関係も良好になる」と話している。

 なお、専門家の一人で米クリスチアーナ・ケア・ヘルス・システム小児科のDavid Paul氏は、今回の研究について「本の読み聞かせが子どもの言語の発達を向上させることは既によく知られているが、それ以外にも効果があることが明らかになった」とコメントしている。また、同氏は「本の読み聞かせがスポーツ、あるいはゲームやテレビ番組を親子で一緒に楽しむよりも良いことなのかは不明だが、その効果には大きな可能性が秘められていると感じている」と話している。


 コーヒーは予想以上に代謝に影響する

 コーヒーは健康にさまざまなベネフィットもたらすことが知られている。これまで考えられていた以上に代謝に影響を及ぼす可能性のあることが小規模な研究で示された。研究の詳細は「Journal of Internal Medicine」3月15日オンライン版に掲載された。

 これまで多くの研究で、コーヒーを接収するとパーキンソン病や糖尿病、多発性硬化症、一部のがんなど多くの疾患の発症リスクが低減する可能性が示されている。今回の研究を主導した米ノースウェスタン大学フアインバーク医学部予防医学助教授のMarilyn Cornelis氏らは「その多くは参加者が自己申告したコーヒーの摂取量とリスクとの関連を見ているだけだ」と指摘。今回の研究はこれらの関連性のメカニズムの解明に努めたものだとしている。Cornelis氏らの研究は、コーヒーを飲む習慣のあるフインランドの成人男女47人を対象に行った臨床試験に基づくもの、参加者にはまず、コーヒーを摂取しないで1ヵ月間過ごしてもらった後に、1ヵ月間は1日4杯コーヒーを摂取してもらい、血液検査を毎月行ってメタボローム・プロファイリングにより733種の代謝物質の血中濃度を観察した。

 その結果、コーヒーを1日4~8杯摂すると115種の代謝物質の血中濃度が有意に変化することが分かった。Cornelis氏らによるとこうした変化のほとんどは予想通りのものだったが、一部には想定外の変化がもたらせていたという。例えば、コーヒーの摂取は、脳内マリファナに類似した物質と知られる内因性カンナビノイドシステムに関連する代謝産物の血中濃度を低下させることが分かった。また、コーヒーの接収は性ホルモンなどのステロイドホルモンや脂肪代謝に関連する代謝産物の血中濃度に変化をもたらしていた。

 内因性カンナビノイドシステムは、人の食物やエネルギーの算出と消費、血圧、睡眠などの基本的な身体機能のコントロールに重要な役割を担っている。これまでの研究でコーヒーの摂取は体重管理に良い影響を及ぼすことが報告されているが、Cornelis氏は「コーヒーの摂取は内因性カンナビノイドシステムの活性を押さえるように働くため、いわゆる脳内マリアナによる食慾増進とは反対の働きを示す。コーヒー摂取による肥満予防効果には、このシステムの役割が大きい可能性もある」と指摘している。

 Cornelis氏らは「こうした代謝産物の血中濃度の変化が何を意味するのか分かっていない」とコメントしているが、「今後、コーヒー摂取との内因性カンナビノイドが関連するメカニズムが解明されれば、コーヒーを摂取する人で一部の疾患リスクが低い理由を説明で着るようになるだろう」と展望している。

 米国栄養士会(Academy of Nutrition and Dietetics)のスポークスパーソンを務めるAngela Lemond 氏は、この研究は小規模なもので、コーヒーの摂取量もゼロから1日4杯、1日8杯とされており、一般的なコーヒー摂取の習慣を必ずしも反映していない点を指摘、また、米国では成人のカフェイン摂取量は食事に関するガイドラインで1日400mgまでが安全域とされており、コーヒーを1日8杯も摂取するとカフェイン含有量が800mgと上限を超えてしまい、睡眠や精神面への悪影響が懸念されること強調している。


 小児の扁桃摘出術、3歳未満で術後合併リスク上昇か

 慢性あるいは反復性の扁桃炎がみられる小児患者に対し、扁桃摘出術が行われることは珍しくない。しかし、3歳未満の小児では特に注意が必要かもしれない。米ボストン小児病院のClaire Lawlor氏らが扁桃摘出術を受けた小児患者約1800人のデータを分析した結果、3歳未満の患者では術後の合併症リスクが高い可能性が示されたという。この研究結果は「JAMA Otolaryngology-Head & Neck Surgery」3月15日オンライン版に掲載された。

 Lawlor氏らは今回、米オクスナー・クリニック財団の医療施設6か所で扁桃摘出術をうけた6歳以下の小児患者1,817人のデータを分析した。対象患者の手術時の平均年齢は3歳10か月(範囲1~6歳)で、平均体重は17kg(同9~43kg)だった。

 その結果、術後の呼吸困難や脱水症、出血といった合併症の発生率は、全体で5.2%だったが、このうち3歳以上6歳以下の小児では4.6%であったのに対し、3歳未満の小児では7.0%とより高いことがわかった。一方、体重は術後の合併症リスクには影響しないことも明らかになった。このことから、同氏らは「体重は合併症の予測因子としてゆうようでなかった」とした上で、「低年齢児に対する扁桃摘出術の安全性について判断する際には体重よりも年齢の方が需要な指標になると考えられる」との見解を示している。

 専門家の一人で、今回の研究には関与していない米ハンチントン病院のMichael Grosso氏は「この研究結果は既に知られていることを裏付けるものだ。扁桃摘出術は、反復する扁桃炎や気道の閉塞が見られる場合など一部の小児に対しては適した治療といえるが、リスクが全くないわけではない」と指摘。小児患者の親に対し、「まず、本当にこの手術が必要なのかどうか十分に検討し、もし少しでも疑問があればセカンドオピニオンをもとめるべきだ」助言している。

 なお、今回の研究では術後に1泊入院しても、入院しなかった場合と比べて合併症リスクが低下するわけでないことも明らかになった。Grosso氏はこの点に言及し、「多くの病院では術後の入院を必須としており、それによって小児の安全性をある程度守ることができていると考えられる。ただ、術後1週間以上が経過してから合併症が起こる場合もあるため、それらは入院で防ぐことはできない」と話している。

 一方、米コーエン小児医療センターのLee Smith氏は「3歳未満の小児患者を入院させることで、合併症が起こった場合も患者を守れる可能性はある」と強調。「われわれの施設でも、過去8年以上にわたって(術後の入院を必要とする)方針を適用してきたが、それによって低年齢の患小児患者を入院させることで、合併症が起こった場合も患者を守れる可能性はある」と強調。それによって低年齢の患者に安全な環境を提供することができている。どんな手術にもリスクはあるが、医療従事者はそのリスクを抑え、小児患者にできるだけ安全な環境を用意するための指針を定めておく必要がある」と話している。


 塩分の取り過ぎによる害、他の栄養で帳消しにはできない?

 塩分のとり過ぎによる害、他の栄養は、野菜や果物をたくさん食べるなど他の面で健康的な食事を心掛けても帳消しにはできないことが、英インペリアル・カレッジ・ロンドンのQueenie Chan氏らによる研究から明らかになった。この研究結果は「Hypertension」3月5日オンライン版に掲載された。

 塩分の取り過ぎは心疾患や脳卒中の主な原因である高血圧のリスクを高めることが知られている。米国心臓協会(AHA)は、1日に摂取する塩分の基準値としてナトリウム換算で2,300㎎(食塩でテイスプーン約1杯分に相当)未満におさえることを推奨している。しかし、AHAによると、実際には食塩を其のまま摂取することは少なく、米国民が口にする塩分の4分の3は缶詰やパン、ハム類やチーズ、スナック類などの加工食品や総采、レストランの食事に含まれたものだという。 これまで、塩分が高血圧のリスクを高めることを示した数多くの研究結果が報告されていたが、塩分以外の栄養素の摂取状況が塩分と高血圧リスクとの関連に影響するのかどうかは不明であった。そこでChan氏らは今回、INTERMAP研究と呼ばれるコホート研究に参加した米国や英国、日本、中国の40~59歳の男女4,680人を対象に、塩分や脂質、タンパク質およびアミノ酸、ビタミン、ミネラルなど80種類の栄養素と血圧のデータを分析した。データには尿中のナトリウムと、血圧を低下させる作用があるカリウムの排泄量も含まれていた。

 その結果、尿中のナトリウム排泄量およびナトリウム接種量に対するカリウム排泄量の比が高まると血圧の上昇が認められたが、コのような関連に他の栄養素はほとんど影響しないことが分かった。この結果を踏まえ、Chan氏らは「高血圧前症や高血圧の蔓延を阻止し、制御するためには、食品の食塩含有量を大幅に減らす取り組身が必要だ」と強調している。取り過ぎた塩分は水をたくさん飲めば薄まると考える人もいるが、今回の研究には関与していない米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン医療センターの栄養士であるSamantha Heller氏は「水を余分に飲んでも身体が処理する塩分量に変化はない」と指摘する。その一方で、同氏が塩分の摂取量を減らす対策として勧めているのが、「食品の栄養表示を必ず確認すること」と「自宅で調理したものを食べること」だ。「(料理には)慈善のちょつとした準備や計画は必要だが、最終的には節約にもつながる」と同氏は話す。さらに同氏は、カリウムが豊富に含まれるDASH食などを血圧の低下を促す食事療法として推奨している。


 かぜをひきやすい人は食事が不規則かつ偏食

 (地域住民約4万人を対象に横断研究)

 神奈川県立保健福祉大学大学院保健福祉学研究科の柴田みち氏と同科教授の中島敬氏らは、地域住民約4万人を対象とした横断疫学研究を行い、かぜ罹患と日常生活習慣との関連について調べた。中でも食事摂取習慣との関連性が明らかとなったと報告した。

 風邪をひきやすい人は睡眠5時間以下、運動習慣なし

  対象は、2007年に健康診断を受けた埼玉県在住の健康な成人3万人9524人(年齢40~79歳)。健診受診時の自覚症状を含む問診票の回答および身体計測値、検査値を集計し、自己申告による」かぜの罹患しやすさ(Self-reported Predisposition to Common Cold:SPCC)と日常生活習慣並びに各種パラメータとの関連性を検討した。頭痛、胃痛、下痢、なおの32の症状から過去1カ月間に当てはまる自覚症状を選択させ、自覚症状の中で「風邪をよく引く」を選択した場合に「かぜをひきやすい(SPCC)」、選択しなかった場合に「かぜをひきにくい(非SPCC)」と判断した。検討の結果、SPCC群は846人(2.1%)で、SPCC群は非SPCC群に比べて白血球数、血清ALTが有意に高く、血清HDL-Cが優位に低く、睡眠時間が有意に短かった。BMIのカテゴリー(18.9以下、19.0~20.9、23.0~24.9、25.0~26.9、27.0以上)別に見ると、かぜをひきやすい人の生活習慣と各項目との関連について年齢、BMI、生活習慣、治療歴、関連する交絡因子などを調整してロジスティック回帰分析を行った。その結果、SPCCの割合はBMI23以上25未満に対して他のBMIカテゴリーは(BMI27.0以上を除く)優位に高かった。睡眠時間では7時間に対して5時間以下(オッズ比(OR)1.46,95%CI 1.16~1.83、P<0.01)、飲酒習慣では「飲まない」に対して」「時々飲む(月1~3回)」(同1.45、1.13~1.84、P<0.01)、運動習慣では「月1~2回」に対して「ほとんどしない」(同1.29、1.01~1.65、P<0.05)でSPCCの割合が有意に高かった。食事摂取習慣別に見ると、「バランス良い食事を摂取している」」にくらべて「変色」の方がSPCCの割合が高かった、食事回数では「1日3回規則正しく食べる」に比べて「欠食あり」、「不規則」で高かった。食事バランスと食事回数の両者を組み合わせると「不規則」かつ「偏食」の場合にSPCCの割合が高かった。 今回の結果から、「風邪をよく引く」と自覚している人は、全体の2.1%で、白血球数、血清ALTが高く、血清HDL-Cが低く、「睡眠時間」が短かった。またBMI23以上25未満の人では他のBMIに比べて風邪をひきにくく、生活習慣に関しては、短時間睡眠5時間以下)、時に飲酒(月1~3回)、運動習慣なしで、食事摂取習慣・回数が「欠食あり」、「不規則」、「不規則かつ偏食あり」では風邪をひきやすいことが明らかになった。


 低脂肪VS低炭水化物ダイエット、体重減効果は?

 健康的低脂肪(HLF)ダイエットと健康的低炭水化物(HLC)ダイエットについて、12カ月後の体重減効果は同等であることが、米国・スタンフォード大学のChrisutopher D.ardner氏らが、609例を対象に行った無作為化比較試験で示された。また遺伝子型やダイエット開始前のインスリン分泌能は、いずれの食事療法n体重減効果とも関連が見られなかったという。効果を踏まえて著者は、「疾病の要因と仮定される遺伝子型およびインスリン分秘能は、HLFとHLCのどちらかが至適な食事療法かを識別するのには役立たないようだ」とまとめている。JAMA誌2018年2月20日掲載の報告。

  非糖尿病18~50歳を対象に無作為試験、1年後の体重減を比較。

  研究グループは2013年1月29~2015年4月14日にかけて、BMI値28~40、非糖尿病の18~50歳、509例を対象に、無作為化試験{DIETFITS}(The Diet Intervention Examining The Factors Interacting with Treatment Success)を開始し、2016年5月16日まで追跡した。

 被検者を2郡に分け、1方にはHLFダイエットを、もう1方にはHLCダイエットをそれぞれ12カ月間行った。具体的には健康教育者が、ダイエットに特異的な少人数セッション(12か月間で22回)を通じて、行動変容を促す介入を行った。 試験では、3つの代表的な=塩基多型(SNP)反応パターンまたはインスリン分泌能(糖負荷後30分の血中インスリン濃度(INS-30)と体重減との関連についても検証した。

  体重減は同程度、遺伝子型やインスリン分泌能との関連は認められず被検者609例の平均年齢は40歳(SD 7)、女性は57%、平均BMI値は33(SD 3)、低脂肪遺子型は244例(40%)、低炭水化物遺伝子型は180例(30%)、INS-30平均値は93uiu/mlだった。12か月間の多量栄養素の平均分布値は、炭水化物はHLF群48%、HLC群30%、脂肪はそれぞれ29%、45%、蛋白質は21%、23%であった。12か月の体重変化の平均値は、NLF群-5.3kg、HLC群-6.0kgだった。(郡間差平均:0.7kg、95%信頼区間「CI:-0.2~1.6kg」12か月の体重減については、ダイエットの種類と遺伝子型に相互関連はみられず(P=0.20)、ダイエットの種類とインスリン分泌能(INS-30)にも相互関連は認められなかった(P=0.47)なお、18件の有害事例が認められたが、発生の割合は両群で同程度だった。


 小児の外傷:受傷機転による特徴

 小児外傷には典型的な臨床像や受傷機転が存在する。受傷した際の状況について詳しい情報を収得することにより、正確な診断につながる。いかに、受傷機転に特徴的な臨床像を挙げる。

・シートベルトを装着していた小児では腸管損傷や腰椎損傷が多い。

・意識障害が前面にある乳児の病歴が、それにそぐわないものにあった場合、虐待による頭部外傷を常に考慮する必要がある。 ・自動車にはねられた学童は、下腿損傷、腹腔内損傷、胸郭胸壁損傷と頭部外傷を合併する

・思春期ではロードバイク・自転車などの事故により肝損傷、脾損傷ガ増加する。

・比較的軽傷と考えられるような頭部打撲であっても頭蓋内血腫を形成することがある。

・自転車のハンドルによる腹部打撲で十二指腸損傷や膵臓断裂などの損傷がある。

 「子どもは社会の宝である。少子化を迎えた我が国の社会において1人の小児の命も外傷によって失われてはならない。


 1日1本の喫煙でも心血管リスク大

 1日1本の喫煙による冠動脈疾患・脳卒中リスクは予想以上に大きく、1日20本の喫煙によって増加するリスクの約半分に及び、心血管疾患において安全なレベルの喫煙は存在しないことが示された。141件のコホート研究のメタ解析結果を、英・University College LondonのAllan Hachshaw氏がBWJ(2018:360J5855)に報告した。

 1日1本の喫煙の過剰相対リスクを約5%と予想:喫煙は冠動脈疾患や脳卒中のリスクを増加させるが、多くの喫煙者は喫煙本数を減らせば、その分だけリスクが大幅に低下すると信じている。しかし、5件の研究のメタ解析により、1日5本以下の喫煙でも予想以上に冠動脈リスクは高まることが報告されている。Hackshow氏らは、1946~2015年にMedlineに掲載された少なくとも50の冠動脈疾患イベントを含む研究のシステマチックレビューを行い、喫煙と冠動脈疾患・脳卒中の関連を検討した55の研究報告における141件のコホート研究を抽出し、メタ解析を行った。主要な解析項目として1日1本の喫煙による冠動脈疾患・脳卒中リスクの変化率(過剰相対リスク)を「1日20本の喫煙によって増加するリスクにたいする1日1本の喫煙によつて増加するルスクの割合」として算出。喫煙量とリスクが線形関係にあると仮定し、1日1本の喫煙によゆ過剰相対リスクは5%になると予測した。

 予測をはるかに上回る高リスク:解析の結果、喫煙未経験者に対する冠動脈疾患の相対リスク(RR)は、男性では1日1本の喫煙で1.48(95%CI1.30~1.69)、1日20本の喫煙で2.04(同1.86~2.24)、複数の交絡因子を調整後それぞれ1.74、2.27であった。女性では1日1本の喫煙で1.57(同1.29~1.91)、1日20本の喫煙で2.84(同2.21~3.64)、交絡因子調整後はそれぞれ2.18、3.95であった。1日20本の喫煙に対する1日1本の喫煙の喫煙における冠動脈の過剰相対リスクは男性では46%(交絡因子調整後53%)女性では31%(同38%)だった。また、喫煙未経験者に対する脳卒中のRRは、男性では1日1本の喫煙で1.25(95%CI1.13~1.38),1日20本の喫煙で1.64(同1.48~1.82)、複数の交絡因子調整後はそれぞれ1.30、1.56であった。女性では34%(同38%)だった。 また、喫煙未経験者に対する脳卒中のRRは男性では1日1本の喫煙で1.25(95%CI1.13~1.38)、1日20本の喫煙で1.64~1.82、複数の交絡因子調整後それぞれ1.39、1.56であった。女性では1日1本の喫煙で1.31(同1.13~1.52)、1日20本の喫煙で2.16(同1.69~2.75)交絡因子調整後はそれぞれ1.46、2.42であった。1日20本の喫煙に対する1日1本の喫煙における脳卒中の過剰相対リスクは男性では41%(交絡因子調整後64%)女性では34%(同36%)だった。このように1日1本の喫煙による冠動脈疾患あるいは脳卒中に対する過剰相対リスクは30~60%に上がり、予測の5%をはるかに超えていた。

  喫煙本数を減らすのではなく完全な喫煙を。


 インフルエンザと心筋梗塞に有意な関連

 呼吸器感染症とくにインフルエンザと急性心筋梗塞には、有意な関連が認められることが明らかにされた。インフルエンザの感染が検査で確認された後の1週間以内に、急性心筋梗塞で入院するリスクは、B型で約10倍、A型で約5倍に増大する。また、RSウイルスについても、同リスクは約4倍に上昇することが示された。カナダ・トロント大学のJeffrey C.Kwong氏らが、自己対象ケースシリーズ試験を行い明らかにしたもので、NEJM誌2018年1月25日号で発表した。これまでにも、インフルエンザ感染と急性心筋梗塞との関連を示唆した試験結果はあったが、インフルエンザ感染の確認に非特異的な検査方法を用いる、バイアスを受けやすい試験デザインを採用するなど欠点があったという。

  感染後1週間と感染前後1年を比較: 研究グループは2009年5月~2014年5月に、呼吸器ウイルス感染検査を行った35歳以上の成人を対象に、検査で確認されたインフルエンザ感染と、急性心筋梗塞による入院の関連を、自己対象ケースシリーズ試験で検証した。具体的には、種々の特異度の高い検査方法を用いて、呼吸器検体のインフルエンザ感染を確認し、急性心筋梗塞による入院は行政データで確認した。試験では、呼吸器検体の採取後7日後を「リスク期間」、リスク期間の前後1年間を「対象期間」とそれぞれ定義し、両期間に急性心筋梗塞の発生について比較した。

  B群約10倍、A群約5倍、その他RSウイルスなどでも約3~4倍:インフルエンザ陽性判定の前後1年以内に発生した急性心筋梗塞による入院は、364件だった。このうち、リスク期間内の発生は20件(20, 0件/週)だったのに対し、対象期間内の発症は344件(3.3件/週)だった。急性心筋梗塞による入院について、リスク機関の対象機関に対する発生率比は、6.05(95%信頼区間:3.86~9.50)だった。8日目以降については、同発生率の上昇は認められなかった。ウイルスのサブタイプ別にみると、インフルエンザB型の発生率比は10.11(95%CI:4.37~23.38)A型は5.17(95%CI:3.02~8.84)、また、インフルエンザ以外のウイルスでは、RSウイルスが3.51(95%CI:1.11~11.12)、インフルエンザやRSウイルス以外でも2.77(995%CI:1.23~6.24)だった。


 インフルエンザは呼吸するだけで感染する?

 インフルエンザの主な感染経路は感染者のくしゃみや咳で飛び散ったウイルスを含むしぶきを吸い込むことで感染する「飛沫感染」か、ウイルスが付着したものを触ることで感染する「接触感染」のいずれかだと考えられていた。しかし、感染者が呼吸するだけでウイルスが周りに拡散し、同じ部屋にいる人に感染する「空気感染」も予想以上に起こりやすいことが新たな研究で示唆された。詳細は「Proceedings of the National Academy  of Scinces(PNAS)」1月18日オンライン版に掲載された。

 この研究を実施したのは米メリーランド大学環境衛生学教授のDonald Marton氏ら。同氏らは、今回インフルエンザ患者142人に協力してもらい、発症から1~3日目に(1)いつも通り呼吸しているとき(2)話しているとき(3)呼吸したとき(4)くしやみしたときーの呼吸サンプル(計21サンプル)を集め、分析した。

 リアルタイムPCR法による遺伝子検査の結果、咳が出ていない状態で摂取されたサンプル(23サンプル)の48%(11サプル)でインフルエンザウイルスが検出れた。また。犬腎臓由来細胞を用いて培養し、感染力を有するインフルエンザウイルスの量を測定したところ、これら11サンプルのうち8サンプルで感染力のあるウイルスが確認された。このことから、咳が出なくともインフルエンザウイルスの含まれるエアロゾル(空気中に浮遊する粒子)は発生しうることが示唆された。さらに、くしやみが数回出た場合も呼気サンプル中のウイルス量に変化はなかったことから、くしゃみによる影響もこれまで考えていたほど大きくはないことが示された。

 Milton氏は、今回の研究に関する同大学のプレスリリースで「咳やくしやみをしなくても、インフルエンザ患者が呼吸するだけで周囲の空気にウイルスが放出されることが分かった。従ってインフルエンザに感染した人が職場に現れた場合には、周囲への感染を防ぐため職場にとどまらず、すぐに帰宅してもらうべきだ」と強調、また、同氏らは「この研究結果を企業や学校、地下鉄車内の喚起システムの改善などを通じたインフルエンザ予防策の向上に生かしてほしい」としている。

 この研究に関与して米サンノゼ州立大学Sheryl Ehrman氏は「部屋を隅々まで清潔にし、頻繁に手洗いをし、咳をしていう人に近づかないょうにするといった対策は、インフルエンザの感染リスクを低下させる上で一定の効果がある」としたうえで、「患者が呼吸するだけでインフルエンザウイルスが飛び散ってしまうのであれば、これらの対策だけでは完全に感染から身を守ることはできない」と話している。


 卵の摂取量、がん死亡率と関連~日本人女性

 NIPPON DATA80のデータ(14年間追跡)では、日本人女性において、卵の摂取量が年齢調整後の血清総コレステロ-ル(aTCH)および全死亡と関連し、男性では関連しなかったことが報告されている。今回、これらの関連について、別の日本人女性のコホート(NIPPON DATA90)で再評価した結果、卵の摂取量とがん死亡・全死亡との関連が示された。この結果から、卵の摂取量を減らすことが、少なくとも日本人女性にとっていくつかの明確な健康ベネフイットとなる可能性が示唆された。European Journal of clinical nutrition誌オンライン版2017年12月29日号に掲載。

 NIPPON DATA90研究グループでは、卵の摂取量とaTCH、原因別及び全死亡との関連を、NIPPON DATA90データを用いて分析した。栄養調査は1990年のベースライン時に食物摂取頻度調査および秤量法食事記録を用いて実施された。脳卒中・心筋梗塞の既往のない30歳以上の女性4,686人(平均年齢52.8歳)を15年間追跡した。主な結果以下のとおり。

 *参加者を卵の摂取量で5群(週1個未満、週1~2個、2日に1個、1日1個、1日2個以上)に分け、それぞれ203人、1,462人、1,594人、1,387人、40人であった。

 *卵の摂取量はaTCHに関連していなかった(p=0.886)。

 *追跡期間中、心血管疾患死亡183例、がん死亡210例、全死亡599例が報告された。

 *背景因子を調整したCox分析で、卵の摂取量は全死亡とがん死亡に直接関連していた。

  (1日1個群に対する1日2個以上群のハザード比:全死亡では2.25「95%CI:1.20~3.52」)

 *週1~2個群のがん死亡は1日1個群よりも有意に低かった(ハザード比;0.68、95%CI:0.47~0.97)

 *卵の摂取量は心血管疾患死亡と関連していなかった。


 日本人と胃がんーピロリ菌と気を付けるべき3つの習慣歴

 世界的に見れば、罹患率・死亡率共に減少傾向にあるといえ、依然最も診断されているがんであり、死因としは第3位の胃がん、、津金昌一郎氏(国立がん研究センター社会と健康研究センター長)が、ピロリー菌をはじめとする胃がんのリスク因子と予防について講演した。

 環境要因?日本で胃がんが多い地域。少ない地域

 講演で津金氏が示した日本の統計データによると、全がん種で死亡した人は、2015年に37万人、(男性22万人、女性15万人)で、このうち胃がんで死亡した人は4万6000人(男性3万人、女性1.5万人)となっており、肺、大腸について第3位だった。また罹患率については、新たに診断されたのは、2013年時点のデータで、全がん種で推定86万例(男性50万例、女性36万例)。このうち胃がんと診断されたのは推定13万例(男性9万例、女性4万例)となっており、最も多かった。ただ、年次推移を見ると、罹患率の減少と生存率の向上により、死亡率は確立に減少傾向にある。また、患者の分布を見ると、東北地方の日本海側地域に多く、九州・沖縄地域では少ない傾向があるという。津金氏は、「食生活を含めた生活習慣などの環境要因が、遺伝要因よりも影響が大きいのでは」と述べた。

 リスクは知るべきだが、ピロリ菌除菌は「成人以降で」

 胃がんの確実なリスク因子であるピロリ菌感染の有無は尿素呼気試験のほか、便や尿、血液の検査などで簡便にわかるようになった。

日本では、2000年に「胃潰瘍、十二指腸潰瘍」に対し、ピロリ菌の感染診断および治療が保険適用となり、13年には「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」に対するピロリ菌除菌も保険適用となった。

 胃がんのリスク分類は4つの分類(ABC分類)が知られている。これはピロリ菌感染の有無と、萎縮性胃炎(血中のペプシノーゲン値で判明)の組み合わせに分類で、ピロリ菌感染(-)/胃粘膜の萎縮ないしは「A」、ピロリ菌感染(+)/胃粘膜の萎縮なしは「B」、ピロリ菌感染(+)/胃粘膜に委縮進行は「C」。ピロリ菌感染(+)/胃粘膜の萎縮が高度に進行は「D」と評価される。

 また国立がんセンターが作成した、今後10年の胃がん罹患リスクを予測する診断ツールも有用である。年齢、性別。喫煙習慣、食習慣、胃癌の家族歴、それにピロリ菌染の有無を入力すれば、上記のABC分類のいずれに該当するかを即座に知ることができる。津金氏は、こうした手軽なツールも活用して、患者自身に胃がん予防に対する意識付けを促すことの必要性を述べる一方、リスクを低減させるピロリ菌除菌については、その有効性を認めつつ、「小児期に抗生剤を使うことがただしいのか不明な点も多い。検査や除菌、自治体や親に強制されるべきでなく、英人になって自らの判断で行うべきと考える」と私見を述べた。


 インフルエンザ関連呼吸器系死亡の実情は?

 これまでインフルエンザに関連した呼吸器系死亡推計は、世界で年間25~50万人とされてきた。米国疾病予防管理センターのA Danielle Iuliano氏らは「この推計値はWHOが2004年頃に公表したものだが、算出方法が不明で、1990年代のデータを用いていると推察され、各国の実情を反映していないと思われる」として、1995~2015年の各国インフルエンザ関連の呼吸器系超過死亡の推計値を用いて、最新の状況を推算した。結果、従来値より多い約29万~65万人と算出されたという。インフルエンザ関連死の推計値は、国際的なおよび各国のパブリックヘルスの優先事項を決定する際に重視されている。著者は「従来数値によって、疾病負荷が過小評価されていたかもしれない」と指摘し、「世界のインフルエンザ関連死亡に占める、呼吸器系疾患以外の死因について調査す る必要がある」」と指摘している。Lancet誌オンライン版2017年12月13日号掲載の報告。

 モデリング誌を用いて世界各国のインフルエンザ死亡リスクの実情に迫る

 検討は、モデリング誌を用いて行った。まず、死亡レコードとインフルエンザサーベイランスデータがある33カ国について、時系列対数線形モデルを用いて各国のインフルエンザ関連呼吸器系超過死亡率(EMR)を推算。次に、データのない国のたに外挿法を用いて推計を行うため、WHO Global Health Estimate(GHE)の呼吸器感染死亡率を用いて、各国の3つの年齢群(65歳未満、65~74歳、75歳以上)について、3つの分析部門(1~3)に分類した。

 EMR 推定値のある国とない国のGHE呼吸器感染症死亡率の比較で全世界おけるインフルエンザ死亡リスクの差を明らかにするために、死亡率比(MRR)を算出。また、各年齢別分析部門内で個々の国の死亡推計を算出するために、無作為に選択した平均年間EMRと各国MRRおよび母集団を乗算して評価した 。

 季節性インフルエンザ関連呼吸器系死亡は、毎年29万1,243~64万5,832例と推計

 EMR推計値の得られた33カ国のデータは、全集団の57%を占めた。平均年間インフルエンザ関連呼吸器系EMRは、65歳未満群では、10万人当たり0.1~6.4にわたった。65~74歳未満群では同2.9~44.0であり、75歳以上群では17.9~223.5にわたった。季節性インフルエンザ関連呼吸器系死は、毎年29万1,243~65万5,832例(10万人当たり4.0~8.8)発生していると推計された。死亡率比が最も高いのは、サハラ以南のアフリカ(10万人当たり2.8~16.5)東南アジア(同3.5~9.2)であり、年齢群では75歳以上(同51.3~99.4)で最も高いと推定された。92カ国の5歳未満のインフルエンザ関連呼吸器系死は、毎年9,243~10万5,690例発生していると推計された。


 “電子タバコで禁煙”にネガティブな結果?

 電子タバコ(e-cigarettes)は禁煙を促進するという研究結果がある一方、喫煙開始のきっかけになるリスクを懸念する意見もある。その評価を確認すべく米国では、若年の非喫煙者の電子タバコ使用と、それに続くタバコの喫煙開始との関連性評価を目的としたコホート研究が行われた。THE American Journal of Medicine誌オンライン版2017年12月10日号に掲載。

 試験概要 *前向きコホート試験、ベースライン時(2013年3月)と追試験(2014年10月)を比較。*対象;米国人の97%を代表する18~30歳の若年成人の非喫煙者のサンプリングフレームを使用*主要評価項目:電子タバコ使用者(ベースライン時)と非使用者の18カ月後の従来タバコ喫煙の廃止頻度  

 主な試験 *ベースラインの非喫煙者1,508人のうち915人(60.8%)追跡を完了。*ベースライン時に電子タバコを使用した非喫煙者は2.5%(3,204万393人中8万10人)であった。*従来タバコの喫煙開始頻度は、電子タバコ使用者の47.7%に対し、非利用者では10.2%(P=0.001)であった。*ベースライン時の電子タバコ使用は、18カ月時の喫煙開始の独立した関連因子であった(調整オッズ比;6.8、95% CI;1.7~28.3)。  

 本邦では、ニコチン含有の製品は認可されていないため状況は異なるが、筆者らは、この結果は、非喫煙者においては電子タバコの使用を減少させる政策及び教育的介入を支持するものだとしている。


 日中できた傷は夜間の傷よりも治りが早い

 傷ややけどが治る速さには概日リズム(体内時計)が関与しており、日中にできた傷は夜間にできた傷よりも早く治癒することが英医学研究会議(MRC)分子生物学研究所のNathanael Hoyle 氏らによる研究で明らかになった。

 Hoyle氏らは今回、皮膚細胞(線維芽細胞および角化細胞)を用いた実験とマウスの実験を行い、日中にできた傷の方が夜間の傷よりも約2倍の速さで治癒することを確認した。また、やけど患者118人の医療記録を分析したところ、夜間(午後8時から午前8時まで)に負ったやけどは日中(午前8時から午後8時まぜ)に負ったやけどよりも治癒するまでの期間が60%長かった。こうした受傷のタイミングによる治癒速度の差は、体内時計の影響により夜間よりも日中の方が、皮膚細胞が修復のために総省部位までより早く移動するために生じることも分かった、特に日中は皮膚細胞の移動や傷の修復にかかわるアクチンなどのタンパク質の活性化が認められ、このことが創傷の治癒を早める要因であると考えられたという。Hoyle氏らは「概日リズムは皮膚細胞による創傷治癒を制御しており、日中に最適化される」と説明、また、「この研究から得られた知見は手術などの医学的処置を行う際の参考になるだけでなく、創傷の新たな治療薬の開発につながる可能性もある」としている。さらに、Hoyle氏はMRC]のプレスリースで{傷からの感染を防ぐためには皮膚の修復をいかに効率的に行うかが鍵となる。傷の治癒がいかないと、いつまでも傷が残ったり、過度の瘢痕ができたりする可能性もある}とした上で、今後さらなる研究で概日リズムと創傷治癒との関連について検討する必要性があると強調している。


 SIDSと喫煙

 以前から禁煙は疫学的にSIDSの予防に有用であると報告されている。ところで、SIDSとは、Sudden Infant Death Syndromeの略であり、乳幼児突然死症候群をさす。 厚生労働省のSIDSのガイドラインでは「それまでの健康状態および既往歴からその死亡が予測できず、しかも死亡状況調査および解剖検査によってもその原因が同定されない、原則として1歳未満の児に突然の死をもたらした症候群、突然の死亡でも原因が限定できる症例は狭義のBIDSとは言わない」との記載がある。さらにホームページには乳幼児突発性危急事態(アルテ):ALTE(Apparent Life Threateniing Event)という死亡にまで至らない病態についても言及されている。SIDSはSyndrome(症候群)であるがゆえに誘因と考えられるものも多岐にわたり厚労省のホームジにもSIDSの予防にはあおむけ寝、母乳育児、禁煙の推進が有用であり、さらに喫煙については妊娠中から控えた方がよい旨の記載もある。だからと言って、喫煙すればSIDSが必ず発症するわけでなく、さらに喫煙だけでなくSIDSのリスクとされることをすべて回避してもSIDSがなくなるわけではない。しかし、最近の文献には喫煙にはSIDSと喫煙に関し疫学的な検討だけでなく、ニコチンの暴露による循環器や脳へ悪影響が発症機序の可能性になるとした報告もみられる。そもそもリスクマネージメントの観点からすれば、危険は回避されるべきであろう。SIDSの誘因になると認識しながら喫煙するのは、夏の日にげりら豪雨を心配しておきながら傘も持たず外出し、ずぶぬれになるようなものではないだろうか。


フルーツ摂取量の増加喘息や鼻炎を予防:日本の小学生

 日本の小学生を対象とした研究で、フルーツの摂取量が多いほど、呼吸器アレルギー症状を予防できる可能性があることが、滋賀県立小児保健医療センターの橋隆氏らによる研究で明らかになった。Pediatric allergy and Immunology誌 オンライン版2017年10月11日号の報告。

 食事パターンがアレルギー予防と関連するという報告がある。そのため、著書らは、滋賀県近江八幡市のすべての小学校において、前向きコホート研究を実施した。対象は、7歳児(2011年時点)の759人、2011-14年までの4年連続で、アレルギー症状及び食事に関するアンケートを両親に配布し、記入を依頼した。10歳時に、吸入アレルゲンに対する特異的免疫グロブリンEを測定した。調査期間中、参加者は4つの食品群(フルーツ、野菜、魚、豆)の低摂取群、中摂取群、高摂取群に分類された。オッズ比及び95%信頼区間を推定するためにロジステイック回帰分析を行った。

 主な結果は以下の通り。

*両親が4年連続でアンケートに回答した計520人の子供(68.5%)が分析対象となった。

*10歳時の喘息、鼻炎、その他のアレルギー症状の有病率は、フルーツ摂取量の増加に伴って有意に減少した。

*さらに、調査期間中のアレルギーしょうじょうの発症は、フルーツ摂取量の増加に伴い、有意に減少した(低摂取群33%、中摂取群28.3%、高摂取群14.3%、P for trend=0.01)

10歳時のブタクサに対する感作率は、フルーツ摂取量の増加に伴って有意に減少した。

*魚摂取と喘息の新規発症との関連を除き、他の3つの食品群に有意な影響は観察されなかった。


“ヘルシー“と表示された食品を食べるとかえって太る?

 “健康的(healthy)”と表示された食品には注意が必要かもしれない。"健康的"と表示されていても含まれている糖分が多いと、その後の間食が増える可能性があるからだ。一方、含まれている糖分の量が多くても、"自分へのご褒美(Indulgent)"というキヤツチフレーズが表示された食品の場合、後に間食が増える可能性は低いという。これらのことは米アリゾナ州立大学マーケテイング学部教授のNaomi Mandel氏らが実施した研究で明らかになった。
 Mandel氏らによると、糖分の多い食物を摂取すると其の日は空腹感が高まることは以前の研究で明らかにされていた。そこで今回の研究で同氏らは、糖分の多い食品のラベルに表示された内容が、その後の空腹感にどのように影響するかについて検討した。
 まず、大学生76人に2種類の「プロテインシエイク」のいずれかを飲んでもらった。これらのシエイクは、味は同じで含有するタンパク質やエネルギー量も同量だが、一方は糖分が多く脂肪分が少ないもの、もう1方は糖分が少なく脂肪分が多いものだった。シエイクを飲んだ後はビデオを鑑賞してもらい、その間にポテトチップを提供した。その結果、予想通り糖分の多いシエイクを飲んだ学生の方が食べたポテトチップの量が多かった。
 次に、別の大学生193名を対象に、これら2種類のシエイクのいずれかを飲んだ学生のグループの中で、食べたトマトチツプスの量が最も多かったのは、 "健康的な生活"と表示された糖分の多い」シエイクを飲んだ学生だった。これに対し、"自分へのご褒美"と表示された糖分の多いシエイクを飲んだ学生のグループでは、その後食べたポテトチップスの量が最も少なかった。その結果について、Mandel氏らは「糖分が多くても食品のバッケージにそのことを警告する表示があれば、食べた後に襲ってくる空腹感を抑えられるが可能性が今回の研究で示された」と説明。また、同氏は「"健康的”というキャツチフレーズで販売されているが糖分の多いシリアルやヨーグルトなどを朝食にとることによる影響が特に懸念される」と話し、食品のパッケージに表示され栄養成分表とリストを確認して実際に健康的かどうか判断するよう勧めている。


朝食抜きの人は動脈硬化リスクが高い

 朝食を抜く習慣が、一般的な心血管疾患(CV)リスク因支とは関係なく、非冠動脈性および全身性のアテローム性動脈硬化性のリスク増加と関連することが、スペイン・Centro Nacional de Investigaciones Cardovasculares Carlos III のIrina Uzhova氏らの前向きコホート研究で示された。 Journal of the Amerucan College of Cardiology誌2017年10月10日号に掲載。
 著者らは、CVリスク因子および無症候性アテローム性動脈硬化症の存在・分布・進展と、朝食パターンとの関係を調べた。

 本研究は、ベースライン時にCVイベントのなかった40-54歳の成人の前向きコホート研究であるPESE(Progression of Early Subclinical Atherosclerosis)研究における横断分析。 4052人の参加者から、生活習慣、複数の血菅内イメージングデータ、臨床共変量を収集した。朝食パターンは以下の3つで検討した。
・高エネルギー朝食:朝食が1日の総エネルギー摂取量の20%超(全体の27%)
・低エネルギー朝食:朝食が1日の総エネルゴー接種量の5~20%(全体の70%)
・朝食抜き:朝食が1日の総エネルギーの5%未満(全体の3%)
 多変量ロジステイック回帰モデルのよる分析の結果、朝食抜きは高エネルギー朝食と比べて、従来の食事性CVリスク因子の存在とは関係なく、非冠動脈性アテローム性動脈硬化症(オツズ比:1.55、95% CL:0.97~2.46)および全身性アテローム性動脈硬化症(オッズ比:2.57、95% CL:1.54~4.31)の高い有病理と関連していた


今シーズンのインフルエンザ流行について

 インフルエンザの専門家「菅谷憲夫(けいゆう病院)」

 香港や豪州の"異例の流行"から日本の今シーズンについて言えることは、香港と豪州の共通点は、A香港の流行であり、患者の中心が小さな子どもと高齢者で入院率も高い傾向を示していることです。 香港では昨冬のA香港の流行の規模は例年よりかなり小さく、その"反動"が夏に来たと言えるでしよう。
 香港の医師は、ワクチンは11月頃に打つのが普通なので、効果の切れたところへ流行が来て大規模化したのではないかと言っています。
 豪州の医師は、今年のA香港には変異があるのではないかと指摘しています。
 香港では今夏にインフルエンザでICUに入院した成人患者582人のうち430人が死亡しています(9月9日現在)。ただ、例年より強毒というわけではないようです。日本と比べると深刻に見えますが、過去の香港のデータに照らしていえば、A香港が流行した過去の数シーズンと同等です、日本の昨シーズンはA香港が大きな流行を見せましたから、"パターン"通りなら今シーズンはH1N1pdm09の可能性が高いはずですが、今シーズンは話が違って来るかも知れません、香港と豪州の状況や、日本で9月以降に検出されているA香港の多さを踏まえると、A香港が再びくることを考えないといけない、H1N1pdm09と半々くらいなる可能性もあります。 "A香港とH1N1pdm09の両方に備える必要があるということですね"はい。臨床現場の早期診断・早期治療が例年以上に求められます。そして、ハイリスク層である小さな子どもと高齢者に対しては、しっかりワクチンを接種してほしいと思います。その上で、A香港の流行となった場合の注意点は2つ。まずワクチンの効果が成人で30~40%と低くなること、もう1つは小児と高齢者は細菌性肺炎の合併に要注意です。インフルエンザワクチンだけでなく、機会があれば肺炎球菌ワクチンの接種も進めるも良いでしょう。一方、H1N1pdm09に対しては、ワクチンの効果は60%程度と期待できます。 H1N1prom09のワクチンは昨シーズンまで2009年に分離された「カリフオルニア株」で製造されてきましたが、変異の出現を踏まえ、今シーズンは新しい株に変更されました。 H1N1pdm09の流行となった場合、若年層を中心に、重いウイルス性肺炎などの合併症が懸念されます。変異を踏まえると、H1N1pdm09に以前かかった人が再罹患することも念頭に置くべきです。 B型についてはいかがでしょう。例年の傾向からいえば、BはAが減り始める2月頃から増え始め、学級閉鎖を引き起こしたりするので、主に学童への影響に注意が必要です。 Bに対するワクチンの効果は50%前後で、A香港に比べると高齢者にも効果が出やすく、細菌性肺炎の合併率も低い。 Bは2年に1度大きな流行を起すと言われています昨シーズンに大きめの流行となったので、今シーズンはそこまで流行しないと予想します。ワクチン不足を懸念する声があります。当初使う予定だったA香港の「埼玉株」の増殖効率が予想より悪く、選び直した結果、生産開始が遅れたとのことです。
 ただ、全然足りないというわけでなく、ハイリスクの層の分はある程度確保されそうですので、大きな影響は出ないでしょう。


"妊娠中の携帯電話使用、胎児の脳への影響見られず"

 妊娠中に携帯電話で通話しても、胎児の脳の発達に悪影響はないとするノルウエーの母子約4万5000組を対象とした研究の結果が「BMC Public Health」9月5日オンライン版に掲載された。この研究では、妊娠中に母親が携帯電話を使用しても、その後生まれた子供が3歳及び5歳になった時の言語能力や運動能力への影響は認められなかったという。
 今回の研究を実施したノルウエー公衆衛生研究所のEleni Papadopoulou氏によると、以前報告された研究結果を受け、携帯電話などから放出される電磁波が胎児に悪影響を与える可能性が懸念されてきた、ただ、これ等の研究は多くが動物実験で、結果も一貫していないという。
 そこで同氏らは、1999年から2008年までに登録された妊娠中期の女性とその子ども計4万5389組のデータを用い、妊娠初期の携帯電話を使用した通話の頻度と子どもの3歳及び5歳の時点の言語能力やコミユニケーション能力、運動能力を評価した。
 その結果、3歳時点の評価では、妊娠中に携帯電話を使用していなかった母親から生まれた子どもと比べ、使用していた母親から生まれた子どもでは、複雑な文を話せないリスクが27%、正しい文法で話せないリスクが14%低く、中等度の言語発達遅滞がみられるリスクも31%低かった。さらに、運動能力の低下リスクについても、妊娠中に携帯電話をしていなかった母親から生まれた子どもと比べ、使用していた母親から生まれた子どもでは低かった。ただし、5歳時点ではこのような関連は認められなかったという。
 この研究結果は因果関係ではなく、関連を示しているに過ぎないが、Papadopoulou氏は「今回の研究では妊娠中の携帯電話の使用が胎児の言語やコミユニケーシヨン、運動の能力に悪影響を与えるとする仮説を支持する結果は得られなかった」と説明。また、むしろ妊娠中に携帯電話を使用していた母親から生まれた子どもの方が、発達レベルが高かったとする結果に関しては、「今回の研究で考慮されなかった社会的背景や家庭環境が影響した可能性もあり、慎重な解釈が必要だ」とした上で、「少なくとも妊娠中の携帯電話の使用について母親が抱いている不安を軽減する結果と言えるだろう」と話している。


母乳の味を変えれば野菜好きの子に育つ?

 幼い子どもに野菜好きになって欲しければ、母親が授乳中に野菜を食べておくと良いかもしれない。{American journal of Clinical Nutrition}7月号に掲載された研究で、母親が授乳前に野菜ジユースを飲むと母乳が野菜の風味になり、その母乳を飲んだ子どもは後に同じ味のする食べ物を嫌がる可能性が低くなることが示された。
 今回の研究では、母乳育児中の母子97組を5つのグループにランダムに割り付け、第1~第4グループの母親には授乳前に野菜ジュース(ニンジン、セロリ、ピートなど)を半カップ飲んでもらうことにした。 その時期は、第1~第3グループではそれぞれ子どもの生後2週間目、1.5ヵ月目、2.5ヵ月目から1ヵ月間とし、第4グループでは生2週間目から3ヵ月間とした。第5グループは水を飲む対照群とした。
 子どもの離乳後(生後8ヵ月頃)、母親が子どもに対してプレーンまたはニンジン風味、ブロッコリー風味の離乳食用シリアルを与える様子をビデオ撮影し、子どもの嫌がるサイン(鼻にしわを寄せる、唇を尖らせる、顔をしかめる、スプーンを強く拒絶するなど)を観察した。
 その結果、野菜風味の母乳を飲んだ子どもはプレーンなシリアルや不慣れなブロッコリー風味のシリアルよりも、ニンジン風味のシリアルを好むことが分かった。また、最後2週目から1ヵ月間、野菜風味の母乳を飲んだ子どもは、他のグループの子どもに比べてニンジン風味のシリアルをより多く、より勢いよく食べていた、この結果について研究では「生後数週間は授乳の頻度が高いためか、もしくは味覚の形成に影響を及ぼし易い時期であるためだろう」と推測している。
 なお、母親の野菜摂取量は研究期間中を通して変化しておらず、8割が推奨量を満たしていなかったが、母親は次第に野菜ジュースの味を好むようになっていた。 そのため、その後も子どもに健康的な食べ物を与え続ける可能性が高まっているかも知れないという。
 研究を率いた米Monell Chemical Senses CenterのMenncella氏は「乳児の感覚的経験はそれぞれの児に固有のものだが、味覚の経験は子宮内にいるうちから始まり。母親が食べた物による影響を受ける。母親から与えられる母乳は精密医療の極致といえるだろう」と述べている。母親が野菜を食べると、其の風味が洋水や母乳に移行し、子どもに伝わる。それにより子どもが早期から野菜の味を学べば、固形食を取り始めたときにいやがりにくくなる可能性があるという。
 米国栄養・食事療法学会(AND)スポークスパーソンのJennifer McDaniel氏は「他にも複数の研究で、母乳育児により食べ物の好き嫌いを少なく出来る可能性が示されている。しかし、母乳育児をできない母親は自分を責めなくて良い。健康的で多様性に富む食事を与えれば、子どもは異なる味や食感を経験して受け入れていき、選り好みしない健康的な食事パターンを身につけられる可能性が高い」とアドバイスしている。


O157による腸管出血性大腸菌感染症

 最近、腸管出血性大腸菌感染症に関して、連日、テレビや新聞紙上で報道されています。
 この感染症は、1982年、米国ミシガン州とオレゴン州で、同じファミリーレストラン・チェーンのハンバーガーによる大腸菌O157;H7集団食中毒が世界で始めて発生した。
 その後米国全域で患者と死者が出るようになり、現在も米国全域で患者と死者が出ており、現在、世界全域で患者の報告があり、地域的な偏りはない。
 我が国では、1990年埼玉浦和市の幼稚園で、井戸水汚洗による事件が発生し、患者数319人、死者2人を出した。1996年には全国で爆発的発性が見られた。
 更生省の報告では、この年の患者総数は17,877人、死者12人、特に大阪府堺市では小学校給食がO157;H7に汚染したために、100,000を超える患者が発生した。世界最大の歴史的な事件であった。
 その後も、毎年患者の報告があり、季節的には夏期に多いが、冬期でも患者は発生している。
 最近の傾向としては、合併症としての溶血性尿毒症症候群(HUS)は小児に多く、死亡例は高齢者に多い。
 ベロ毒素(VT)を産生する大腸菌は、我が国では、多くがO157血清型に属する。本菌はウシの大腸に生息している。それらの腸内容物で汚染された商品(生肉や野菜、特に芽野菜など)や水を介して経口感染する、感染菌量が数10個~約100個と少ないため、患者や保菌者の便からの2次感染もしばしば起きる。潜伏期は2~14日(平均3~5日)。
 臨床症状:腸管病変;出血性大腸炎;水様性下痢と腹痛で発症、血便、発熱、殴気、嘔吐、翌日には血便、重症例では鮮血を多量頻回(出血性大腸炎)、腸重積、中垂炎、を合併、 

 合併症;発症1週後、約10%にHUSを発症、(乳幼児・高齢者)
 治療;腸炎には安静、水分補給、経口摂取不可能・重症患者には輸液、止痢剤は控える、HUSには腹膜透析、

 抗菌薬:小児;ホスホマイシン・カナマイシン、成人;ニューキノロン、ホスホマイシン。

 O157食中毒予防のポイント;肉や魚はポリ袋や容器に入れて冷蔵庫に、手は調理前や排便後などこまめに洗う、野菜は良く洗う、冷凍食品は使う分だけ解凍し、解凍後すぐに調理する、調理前の食品や調理後の食品は、室温に長く放置しない、残った食品は怪しいと思ったら食べずに捨てる。


スタンフォード式「最高の睡眠」

                          (スタンフォード大学医学部教授・西野精冶氏)

「睡眠の質を最大限に高める」ことを突きつめたメソッドは「最初の90分」を深くせよ!である。人は眠りに落ちてから眼覚めるまで、ずっと同じょうに眠っているわけではない。眠りにはレム睡眠(脳は起きていて体が眠っている睡眠)ノンレム睡眠(脳も体も眠っている睡眠)の2種類があり、それを繰り返しながら眠っている。寝ついたあと、すぐに訪れるのはノンレム睡眠。とりわけ最初の90分間のノンレム睡眠は、睡眠全体の中でも最も深い眠りである。この段階の人を起こすのは非常に難しく、無理に起すと頭がすっきりしない。脳波を測定すると、非活動状態であることを示す「大きくて、徐行運転のようなゆっくりした波形」が出現するので「除波睡眠」とも呼ばれている。そして、入眠後およそ90分後に訪れるのが最初のレム睡眠。まぶたの下で眼球が素早く動く「急速眼球運動」が見られ、このタイミングで(割と現実的な)夢を見たりする。レム睡眠中は意識はないが、比較的簡単に起すことができる。ちなみに、レムとは「急速眼球運動(Rapid Eye Movement)の略だ。この「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」が明け方位までに4,5回繰り返し現れ、明け方になるとレム睡眠の出現時間が長くなるのが通常のパターンだ。この浅くて長い明け方のレム睡眠の出現時に目覚めるのが、自然の流れである。ノンレム睡眠は入眠直後が最も深いが、逆に明け方に近づくにつれ、眠りは浅くなり持続時間も短くなる。睡眠メンテナンスで意識したいのが、「最初のノンレム睡眠」をいかに深くするかということ。ここで深く眠れば、その後の睡眠リズムも整うし、自律神経やホルモンの働きも良くなり、翌日のパフォマンスも上がる。つまり、入眠直後のもつとも深い眠りの90分が、最高の睡眠の鍵を握っているのだ
 寝始めが作る「最強ホルモン」「最初の90分が眠りのゴールデンタイム」と言われているが、まさに黄金だ。例えば、成長ホルモンがもっとも多く分泌されるも、最初のノンレム睡眠が訪れたとき、この一番深いノンレム睡眠の質が悪かったり、外部から阻害されると、成長ホルモンは正常に分泌されない。成長ホルモンは、そのなの通り子どもの成長に関与するだけではない。大人の細胞の増殖や正常な代謝を促進させる働きがある「アンチエイジングに効果がある」などとも言われている。また、長く起きていると「眠りたい」という睡眠欲求(「睡眠圧」)が高まってくるが、最初のノンレム睡眠でその睡眠圧の多くが解放されることもわかっている。黄金の90分の質を高めれば、すっきりした朝を迎えられる。昼間の寝気も消える。さらに「しっかり寝たはずなのに。疲れがとれない」こともなくなる。この90分は睡眠に欠かせない。最大基礎なのである。